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-登場人物- 配野 旬(はいの じゅん):人を〈本質〉に目覚めさせられる 宮森 弓実(みやもり ゆみ):放送部の先輩 佐々木 咲(ささき さき):女テニの部長 三須 碧衣(みす あおい):女テニの一年 著者:sioDL 挿絵:BeLu ---------------------------- 「……ということで、えー次回の特集では、夏の大会に向けて各部の部長にインタビューをしてきてもらいます」 いよいよ訪れた巨大なタスクに、俺たち放送部の面々は一様に表情を曇らせた。 「えー、マジですか」 「どうせ付属高が勝つんだし、わざわざ恥を晒してあげなくてもいいと思います」 「炎天下に取材行くとかマジで地獄なんですけど……」 部員たちによる一斉のブーイングを受け、顧問は所在なさげに苦笑する。 弥乎〇校メディア・放送統括部、すなわち弥乎高放送部。俺の所属するこの部は学生たちに充実した●●●活を提供するため、校内放送や各種アナウンス、校内新聞の掲示を一括して担当している。 そして、この地域の放送部には年イチで「映像特集」なるものを作る文化があった。部員が企画を考え、素材を集めて編集し、完成した動画を品評会に提出するのだ。文化部にはインターハイなんてものがないため、俺達にとっては実質的にこれが最も大きな大会となる。他の学校はしっかり取材を重ねたうえで町の歴史や最新の理学ニュースなんかを取り上げているらしいが、弱小な我が放送部では真剣に取り組まれることはついぞなく、毎年「大会に挑む運動部のドキュメンタリー」という体でお茶が濁されていた。 「いいから行ってきなさい。次の土曜に時間空けてもらえるよう各部の先生たちにはもう許可取ってあるので、インタビュアーとカメラで……あー、二人ずつコンビ組んで、普段の活動の様子から撮影してくるように。いいな」 その言葉を受け、我々は返事代わりに盛大なため息をついた。 「いやーしかし、夏休み前のこの時期に休日返上で取材へ行くことになるとは思いませんでしたよ。しかも去年と内容おんなじだし」 結局この日は業務連絡を行った後、班決めだけして部活動は解散。インタビュー項目は各自で考えてこいとのことであった。 「まあ仕方ないさ。あの雰囲気なら別の案が出ることもないだろうしね」 隣に座る女子生徒が空虚な目でこぼす。彼女、宮森弓実は俺の一個上で三年生の先輩だ。髪型は黒のショートヘアに毛先を跳ねさせていて、健康的な肌や整った顔立ち、170cm越えと俺より高い背丈からはいかにもスポーツ少女といった印象を受ける。しかしいつも猫背のストレートネックなので部活中は若干見下ろすことの方が多く、こんななりで文化部に所属してしまっているあたり本性としてはまったく陰の者だと言うべきだろう。 「とりあえず今日は簡単に取材の流れだけ決めて、私たちも帰ろうか。土曜は朝9時に部室集合だから遅れないようにね」 「了解です」 「それじゃあまずは……そうだな、女子テニス部とバスケ部からにしようかな。どっちも去年そこそこ成績良かったし、結構面白い話が聞けるんじゃないかと思っているんだけど」 「なるほどです。……あー、あと女テニってなんか今年めちゃめちゃ強い子入ってきたって言ってませんでした? 個人的にはその子と絡めてちょっと色々出来たらなーって考えてました」 「ほうほう、いいじゃないか。確かに咲が以前そんなこと言ってたような……ああ、咲って女テニの部長な。友達なんだ」 「へえ、お知り合いだったんですね」 「じゃあ同じクラスだし、私から咲になんとなく話持っていっておくよ。私は今回インタビューやるから、配野君に部活とかその子の撮影の方任せてしまっていいかな?」 「あ、そういう感じですか。分かりました、やってみます」 部室に放置されたノートパソコンやら備品やらを片付けつつ、弓実先輩と今後の取材プランを練っていく。議論は思ったよりも白熱し、全体の予定がまとまったころにはすっかり日が傾く時刻となっていた。 「……よし、こんなもので大丈夫だろう。じゃあ当日も頑張ろうね」 「はい、よろしくお願いします」 取材メモをぱたんと閉じ、先輩はおもむろに立ち上がる。わずかに残っていた部員は皆とっくに帰宅しており、部室には俺と先輩の二人だけとなっていた。 「……」 「ん、どうした? 終わったからもう帰っていいんだよ」 無言のままじっと見つめてくる後輩に、先輩は怪しげに首を傾げる。 俺は先輩の三白眼をしっかりと見つめ返し、 「先輩。俺もう知ってるんで、今さら嘘とかつかないでほしいんですけど。弓実先輩って『本当は俺のことが大好きなストーカー女』ですよね?」 「えっ……?」 言うなり、弓実先輩は目に見えて狼狽した。 「ちょっ、ちょっと待ってくれ。ど、どどっ、どうして、そんなことっ……」 「いや、ですから、もう知ってるんですって。これが先輩の〈本質〉なんですよ」 混乱する先輩に歩み寄り、さらに語気を強めて言い切る。先輩は数秒目を泳がせた後、観念したように肩を落とした。 誤解のないように言っておくと、俺は弓実先輩からストーカー行為なんて微塵も受けていない。全ていま思いついたことを適当に喋っただけのでたらめだ。しかし先輩は現に今、絶望した表情で机に寄りかかりうなだれている。まるで俺の言ったことが完全に図星だったかのような反応である。 ……いや、この表現は不適切だろう。むしろ俺が〈本質〉を指摘したことで初めて、先輩にとって自分はそう〈である〉ことになった。つまり、俺が弓実先輩に対して「先輩は俺のことが大好きなストーカー女だ」と言ったことにより、「宮森弓実は配野旬のことが大好きなストーカーである」というありもしない現実が頭の中に捏造されてしまったのだ。これこそ、俺が〇〇〇時代にカウンセリングの本を読み漁って身につけた「人の本質を見抜く力」である。
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